大きな台風が近づいてくると、雨や風が強くなる前から「なんだか頭が痛い」「立ちくらみのようなめまいがする」と感じる方は少なくありません。天気予報で台風の進路を見ただけで気が重くなる、という声もよく聞かれます。こうした不調は気のせいではなく、気圧の変化に体が反応して起こる「気象病」の一種と考えられています。特に女性はホルモンバランスの影響も重なりやすく、台風シーズンはつらさが増しやすい時期といわれています。
この記事では、台風が近づくと頭痛やめまいが起こる理由を、体のしくみからやさしく解説します。そのうえで、つらいときの対処法、耳や首まわりのツボ・セルフケア、台風シーズンを少しでもラクに乗り切るための予防と生活習慣、そして「何科を受診すればいいのか」の目安まで、まとめてご紹介します。今つらい方も、次の台風に備えたい方も、できるところから取り入れてみてください。
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台風が近づくと頭痛・めまいが起こるのはなぜ?(原因)
台風が接近すると、私たちのまわりの気圧(大気の圧力)が大きく下がります。ふだんは意識しない気圧ですが、体はこの変化を敏感に感じ取っており、それが頭痛やめまいの引き金になると考えられています。ここでは主な原因を3つに分けて見ていきましょう。
内耳が気圧の変化を感じ取る
耳の奥にある「内耳(ないじ)」には、体のバランスをとる三半規管や、気圧の変化を感じるセンサーのような働きがあると考えられています。台風による急な気圧の低下を内耳がキャッチすると、その情報が脳へ送られます。このとき内耳が敏感な人ほど過剰に反応しやすく、実際には動いていないのに「揺れているような感覚」、つまりめまいやふらつきとして感じられることがあるといわれています。
自律神経が乱れて血管や神経に影響する
内耳が受け取った気圧変化の情報は、体を自動で調整している自律神経に伝わります。自律神経には、活動モードの「交感神経」と、休息モードの「副交感神経」があり、この2つがバランスをとって働いています。気圧が急に下がると、このバランスが乱れやすくなると考えられています。交感神経が過剰に働くと血管が収縮し、その反動で広がるときにズキズキとした拍動性の頭痛が出やすくなるといわれています。あわせて、だるさ・眠気・気分の落ち込みなどが重なることもあります。
台風特有の「急で大きな気圧低下」
台風がやっかいなのは、ふつうの低気圧よりも気圧の下がり方が急で、下げ幅も大きくなりやすい点です。体が変化に追いつく前に一気に気圧が変わるため、内耳や自律神経への負担が大きくなり、不調が強く出やすいと考えられています。また、台風が近づく前後は気温や湿度も大きく変わるため、体には二重三重のストレスがかかりやすい状況といえます。

台風で不調が出やすい人・セルフチェック
同じ台風でも、まったく平気な人もいれば、寝込んでしまう人もいます。次の項目に多く当てはまる方は、台風などの気圧変化で不調が出やすいタイプと考えられています。気になるものにチェックしてみましょう。
- 天気が崩れる前に頭痛やめまいを感じることがある
- 乗り物酔いをしやすい、または子どもの頃しやすかった
- 耳鳴りや耳のつまり感を感じることがある
- 肩こり・首こりが慢性的にある
- ストレスや睡眠不足を感じている
- 生理前や生理中に頭痛が悪化しやすい
- 季節の変わり目に体調を崩しやすい
- もともと片頭痛の持ちがある
当てはまる項目が多いほど、気圧の変化に反応しやすいと考えられます。特に乗り物酔いのしやすさは内耳の敏感さと関わりが深いといわれており、台風の日に不調が出やすい方は、内耳がデリケートなのかもしれません。あくまで目安ですが、自分の傾向を知っておくと、台風の前に早めのケアがしやすくなります。
台風のときに現れやすい症状
台風による不調は、頭痛やめまいだけではありません。人によってさまざまな形で現れます。代表的なものを挙げてみましょう。
- 頭痛:ズキズキと脈打つような痛み、または頭全体が重く締めつけられるような痛み
- めまい・ふらつき:ぐるぐる回る感じや、ふわふわと足元が不安定な感じ
- 吐き気:頭痛やめまいに伴って気持ち悪くなる
- 倦怠感・眠気:体が重だるく、日中も強い眠気を感じる
- 肩こり・首こり:首や肩がガチガチに張る
- 気分の変化:気分が落ち込む、イライラする、やる気が出ない
- むくみ:手足や顔がむくみやすくなる
これらは単独ではなく、いくつか重なって出ることもよくあります。「頭痛と吐き気とだるさが一度に来てつらい」というのは、気象病では珍しくないと考えられています。症状の感じ方には個人差があるため、自分がどんな不調が出やすいかをメモしておくと、対策を立てやすくなります。
台風の頭痛・めまいの対処法
実際に頭痛やめまいが出てしまったとき、少しでもラクに過ごすためのセルフケアをご紹介します。無理をせず、できそうなものから試してみてください。

まずは静かな場所で休む
めまいや強い頭痛があるときは、我慢して動き続けるより、横になって休むことが大切です。明るい光や大きな音は刺激になりやすいため、カーテンを閉めた静かな部屋で目を閉じて休むと、症状がやわらぎやすいといわれています。可能なら少し仮眠をとるのもよいでしょう。
頭痛のタイプに合わせて温める・冷やす
ズキズキと脈打つ片頭痛タイプのときは、こめかみや首の後ろを冷やすと痛みがやわらぐことがあります。反対に、頭が重く締めつけられる緊張型頭痛タイプのときは、首や肩を温めて血行をよくするとラクになりやすいと考えられています。どちらか迷うときは、気持ちよいと感じる方を選ぶのが目安です。
耳を温めて内耳の血行を助ける
不調の元になりやすい内耳の血行を助けるために、蒸しタオルで耳のまわりを温めるのもおすすめです。40度前後の蒸しタオルを耳に当てて数分温めると、じんわりとリラックスでき、めまい対策にも役立つと考えられています。
水分をとり、カフェインは様子を見て
脱水は頭痛を悪化させることがあるため、こまめに常温の水や白湯で水分をとりましょう。コーヒーなどのカフェインは、片頭痛の初期にはよいこともある一方、とりすぎるとかえって頭痛を招くこともあるといわれています。自分に合うかどうか、様子を見ながら適量にとどめるのが安心です。
頭痛・めまいをやわらげるツボ・セルフケア
薬に頼る前に、あるいは薬とあわせて取り入れやすいのが、耳や手にあるツボのセルフケアです。テレビを見ながらでもできる手軽なものを紹介します。強く押しすぎず、気持ちよいと感じる程度にやさしく行いましょう。

くるくる耳マッサージ
気象病のセルフケアとして知られているのが、耳を使ったマッサージです。両耳を軽くつまみ、上・横・下にそれぞれ5秒ほど引っぱり、そのあと耳を横に軽く引っぱりながら後ろ方向へ5回ほどゆっくり回します。最後に手のひらで耳全体を覆って温めるとより効果的といわれています。内耳の血行を促し、気圧変化への反応をやわらげる助けになると考えられています。
手のツボ「合谷(ごうこく)」
親指と人差し指の骨が合わさる少し手前のくぼみにあるのが「合谷」です。頭痛や肩こり、ストレスなど幅広い不調に用いられるツボとして知られています。反対の親指で、少し痛気持ちよいくらいの強さで5秒押しては離すのを数回くり返しましょう。左右どちらも行います。
首の後ろのツボ「風池(ふうち)」
後頭部の髪の生え際、太い首の筋肉の外側にあるくぼみが「風池」です。頭痛や首こり、目の疲れなどに用いられるツボといわれています。両手の親指を左右の風池に当て、頭の中心に向かってゆっくり押し上げるようにすると、首まわりがほぐれて気持ちよく感じられます。
台風シーズンの予防・生活習慣
台風の不調は、日ごろの過ごし方でも軽くしていけると考えられています。自律神経を整え、気圧変化に負けにくい体づくりを意識してみましょう。
- 睡眠リズムを整える:毎日なるべく同じ時間に寝起きし、睡眠時間を確保することで自律神経が安定しやすくなります。
- 朝日を浴びる:起きたら太陽の光を浴びると体内時計が整い、一日のリズムがつくりやすくなります。
- 適度に体を動かす:ウォーキングや軽いストレッチなど、無理のない運動は血行を促し、自律神経を整える助けになるといわれています。
- 耳や首を冷やさない:エアコンなどで耳や首を冷やしすぎると血行が悪くなりやすいため、羽織ものなどで調節しましょう。
- バランスのよい食事:ビタミンやミネラルを含む食事を心がけ、むくみが気になるときは塩分のとりすぎに注意します。
- 気圧の予報をチェックする:台風や気圧の低下を事前に知っておくと、早めに休養や薬の準備ができ、心の余裕にもつながります。
特に大切なのが、「つらくなる前に備える」という考え方です。台風が来てから慌てるのではなく、気圧が下がるタイミングを事前に知り、予定を軽めにしたり早めにケアを始めたりすることで、不調のピークをやわらげやすくなります。
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台風の頭痛・めまいがつらいとき、病院は何科?受診の目安
セルフケアでやわらぐことも多い台風の不調ですが、症状が強い・くり返す場合は医療機関に相談すると安心です。何科にかかればよいか迷ったときの目安をまとめます。
- 頭痛が主なつらさ:脳神経内科・頭痛外来。市販薬が効きにくい、頻繁にくり返す場合に相談を。
- めまい・耳鳴りが主なつらさ:耳鼻咽喉科。内耳が関わっている可能性を含めて診てもらえます。
- どこにかかるか迷うとき:まずは内科やかかりつけ医に相談し、必要に応じて専門科を紹介してもらう方法もあります。
なお、これまで経験したことのない激しい頭痛、手足のしびれやろれつが回らない、意識がもうろうとするなどの症状を伴う場合は、気象病とは限りません。ためらわず早めに医療機関を受診してください。「いつもの台風の不調」と自己判断せず、気になるときは専門家に相談することが大切です。
よくある質問(FAQ)
Q. 台風が来る何日前から不調が出るのですか?
A. 個人差はありますが、台風が接近して気圧が下がり始める1〜2日前ごろから不調を感じる方が多いといわれています。気圧の変化に敏感な方ほど、天気が崩れる前に先に症状が出る傾向があると考えられています。
Q. 市販の頭痛薬を飲んでも大丈夫ですか?
A. 用法・用量を守れば市販の鎮痛薬を使うこと自体は一般的ですが、頻繁に飲みすぎるとかえって頭痛を招くことがあるといわれています。飲む回数が増えてきたと感じたら、自己判断で続けず医師や薬剤師に相談しましょう。
Q. 台風のめまいと、病気のめまいはどう見分けますか?
A. 自己判断は難しいため、強いめまいがくり返す・長く続く・難聴や激しい頭痛を伴うような場合は、気象病と決めつけず耳鼻咽喉科などを受診してください。台風のたびに軽いめまいが出て、天気の回復とともにおさまるようであれば気圧の影響が考えられますが、不安なときは専門家に相談するのが安心です。
Q. 女性のほうが台風の不調が出やすいのは本当ですか?
A. 女性は生理周期に伴うホルモンバランスの変化が加わりやすいため、気圧の影響と重なって不調が強く出やすいと考えられています。特に生理前と台風が重なる時期は、いつも以上に体をいたわってあげてください。
まとめ
台風が近づくと頭痛やめまいが起こるのは、急で大きな気圧の低下を内耳が感じ取り、自律神経のバランスが乱れることが主な理由と考えられています。つらいときは静かな場所で休み、頭痛のタイプに合わせて温めたり冷やしたり、耳を温めたりしながら、耳マッサージや合谷・風池などのツボをやさしくケアしてみましょう。日ごろから睡眠・朝日・適度な運動で自律神経を整え、気圧の予報をチェックして「つらくなる前に備える」ことが、台風シーズンを少しでもラクに過ごすコツです。無理をしすぎず、自分の体の声を聞きながら、できるケアから続けていきましょう。
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この記事は健康に関する一般的な情報をお伝えするもので、診断や治療を目的としたものではありません。症状の感じ方には個人差があります。気になる症状がある場合や、症状が続く・悪化する場合は、自己判断せず医師などの専門家にご相談ください。

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